健康・農業関連事業研究所研究グループ(生物)
Health & Crop Sciences Research Laboratory
Biology Group
農学のプロフェッショナルであるために
「初心者」と「プロ」、双方の自覚を持ち続けたい
農学生命研究科 応用生命化学修了
健康・農業関連事業研究所 研究グループ(生物) 加西試験農場 生物8チーム
経歴
- 2012年
- 健康・農業関連事業研究所 研究グループ(探索生物) 3チーム(加西)
除草剤に用いる化合物の探索研究
- 2013年
- 同研究所 研究グループ(創薬化学) 創薬2チーム
除草活性を示す化合物の開発および評価・解析
- 2017年
- 同研究所 研究グループ(探索化学) 探索化学6チーム
除草活性を示す化合物の開発および評価・解析
- 2017年
- 同研究所 研究グループ(生物) 加西試験農場 生物8チーム
- Q 住友化学を志望した理由について教えてください。
- もともと料理が大好きで、食べ物に大きな興味を抱いていました。食糧生産に貢献したいと思い、農学部に進学しましたが、最初は研究に対する具体的なイメージは持っていませんでした。農薬に興味をもつようになったきっかけは、自分に与えられた研究テーマが「病害応答に関与する生理活性物質」だったことです。合成から生物評価まで試行錯誤しながら研究に取り組む中で、化合物探索の面白さ、難しさを知りました。そして、同様の研究で成果を上げ、世界の食糧生産を支えている農薬会社に就職を希望するようになりました。
農薬を研究している会社はいくつもありましたが、当社を選んだ理由は2つあります。1つ目は、グローバルに展開する事業規模の大きさ、2つ目は、クロップストレスマネジメントやバイオスティミュラントなどの新しく、難易度の高い分野に挑戦する姿勢です。当社の将来性に魅力を感じ、入社を決めました。
- Q 現在の業務について教えてください。
- 現在の部署では、センサーやドローンといったデバイスを用いてデータを収集・解析し、生育予測や農薬研究に役立つ基盤技術を整備する業務に携わっています。
入社して最初に配属されたのは、除草剤の探索研究を行う部署でした。除草活性を示す化合物の効力を向上させるために、合成の担当者と二人三脚でどうすればいいかを考え、温室や圃場でさまざまな試験を行いました。2年目には、新しい活性を示す化合物を見つける部署に異動となりました。除草活性を示す化合物を発見するために、ハイスループットの除草試験を構築・運用するほか、化合物の特性評価のための生化学試験や、質量分析による動態解析も行っていました。
- Q 業務のやりがいを感じる瞬間はどんなときですか。
- 新しい農薬を見出すことは、非常に難しい作業です。何百という化合物をスクリーニングしても、次の試験に進める化合物が皆無であるときもあります。また、化合物を見つけても、温室試験から圃場試験に工程を進めた途端に、効果が出なくなってしまうことも起こり得ます。
そんなときにこそ、どうすれば現状の課題を解決できるかを考え抜いて、新しい試験手法を構築することにやりがいを感じます。実際、質量分析や遺伝子解析、センサーやドローンなど新たな技術を活用し、試験に導入してきました。新しく学んだ手法で試験をして、成果が目に見える形で現れたときの喜びは、格別なものがありました。
- Q 仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
- 初心者であることと、プロフェッショナルであること、両方の自覚を持つことが大切だと考えています。
例えば、私は入社してから初めて、酵素アッセイや機器分析、画像解析などの技術を学びました。まさしく初心者からのスタートでしたが、ある程度の経験を積んだ今でも、持っている知識やスキルはまだまだ足りないと思っています。その不足を補うために文献を読んだり、学会や研修に参加したりと、スキルアップを心がけています。プロフェッショナルとして成長するために、慢心することなく初心を忘れずにいたいと思っています。
一方で、自らの業務テーマについては自分より詳しい人は社内にはいません。その過程や結果について、「プロフェッショナル」としての意識を高め、責任を負う必要があります。研究データによって、多数の人が関わるプロジェクトの進退が決まることもあります。常に技術を高めつつ、責任ある結果を出さなければならないと考えています。
- Q 今後の目標について教えてください。
- 現在の業務での目標は、除草剤以外の分野についても、新たな開発に役立つような技術を新しく社内に取り入れて、新規剤の開発につなげることです。
また、研究者としては、自身だけでなく周囲の方々の研究にも影響を与えるような存在になりたいと考えています。学生時代の自分を振り返ると、試験の目的や意図を深く考えることなく研究をしていました。しかし、現在は何をしたらよいのかを主体的に考えて研究に向き合えるようになったと実感しています。
この変化は、論理的な思考を持った上司や先輩のおかげであり、普段の業務での細かな指導や、定例報告会などでの議論の場で鍛えられた結果が、現在の自分に成長できた理由だと思っています。
- Q 最後に、住友化学の魅力はどこにあると思いますか?
- 大きな会社ならではの、懐の広さが魅力の一つだと思います。
さまざまな職種があるため、入社後もキャリアの選択肢は無数にあります。その意味で自由度が高く、働きやすい環境にあると思います。また、社員の方々が、さまざまな領域の専門家であるため、有している知見のレベルが非常に高いです。サイエンスベースの議論ができるので、研究者としての自分の成長にもつながります。研究者にとって、多くの選択肢と、成長する機会を与えてくれるというところはおすすめです。
One Day
(圃場試験シーズンである夏場を想定しています)
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飛行前のドローンの動作を確認。
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圃場の様子は毎日見て回る。
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イネの育成状況を比較検討する。