原理・原則を
基本に
現象を見極める
姿勢を
大切にしながら、
カーボンニュートラルの
実現に貢献する
研究に取り組む
【入社動機】
創業当時からの事業精神への共感と、社風との相性の良さ
就活当初から総合化学メーカーを就職先に考えていました。私は大学時代に無機材料化学を専攻していましたが、その分野に限らず化学全般に興味がありました。そのため、無機化学や有機化学などのさまざまな分野に携われる機会がある「事業領域の幅の広さ」に惹かれました。
総合化学メーカーの中でも住友化学を選んだのは、「持続可能な社会を目指す精神」に特別な魅力を感じたからです。
最近、世の中ではカーボンニュートラルを始めとする持続可能な社会を目指す意識が浸透しつつあり、企業の経営方針としても重要なものと考えられるようになってきたと思います。しかし、私が就活をしていた頃には、そのような考え方はまだすべての会社が最優先に掲げるような重要事項ではなかった印象があります。
そんな中、住友化学は「事業は、自らの利益だけでなく、社会に対しても利益のあるものでなければならない」という住友の事業精神「自利利他 公私一如」をとても大事にしていたことが深く印象に残りました。
住友化学を選んだもう一つの理由、それは社風です。就活中に出会った住友化学の社員の方々に共通する、誠実な人柄・落ち着いた雰囲気・仕事に対する真面目さから、自身との相性の良さを実感でき、住友化学で働いている自分の姿をイメージできたこともあって入社を決めました。
【仕事内容】
カーボンニュートラルの実現に貢献できる可能性を秘めた仕事
私が所属している環境負荷低減技術開発グループは、住友化学が石油化学品事業などで培ってきた触媒や化学プロセスの設計といったコア技術を活用し、炭素循環や温室効果ガス排出削減に関する環境負荷低減の技術開発に取り組む組織です。
私の担当業務はプロセス開発です。二酸化炭素を原料としてアルコールなどの有価物を生成するために、どのような手順で反応させれば良いのかを探る研究を行っています。
また、そのような反応を高効率で達成するための反応器(化学物質の製造過程で化学反応を行わせる装置)の開発も行っています。反応器など機器の開発には製作組立性や製作コストの検討も必要なことから、機器のメーカーとも連携しながら、取り組みを進めています。
これらの業務は二酸化炭素の削減に関わるもので、今まさに世界の国々が取り組んでいるカーボンニュートラルの実現に直結するものです。
自分の行っている研究が、将来的に社会実装されてカーボンニュートラルの実現に貢献できるかもしれない。そう考えると、非常にモチベーションが上がりますし、やりがいを感じます。
【印象に残っているエピソード】
ベンチ実験設備の建設に関わった経験
小規模のラボ実験設備をスケールアップしたベンチ実験設備の建設に関わったことが印象に残っています。
可燃性ガスを取り扱う実験を安全に行える実験室の建設、実験室内の換気を行うブロワー(排気装置)・排ガス処理装置の設置、実験で使用する原料の配管工事、実験設備の電源確保のための電気工事、ガス検知・インターロックシステム(安全装置)作動のための計装工事や、実験に使用する反応器など装置一式を含め、化学実験をするための設備仕様の設計検討・導入業務に主担当者として携わりました。
そして、工務部や協力会社と連携しながら工事を進め、設備を完成させました。実際に実験設備が動いている様子を確認できた瞬間には達成感がありました。また、自分で考え抜いた設計仕様が形になることに大きなやりがいを感じるとともに、ほっとした気持ちにもなりました。
現在はよりスケールの大きなパイロットプラントの設計・建設に関わっているのですが、このときの経験がとても活きていると感じます。
【今後の展望】
自部門と他部門をつなぎ推進する原動力になりたい
私の目標は、自部門と他部門とをつなぎ業務を推進する原動力のような存在になることです。
私の先輩や上司は、実験の成果を実際のプラントにおいて実用化するにはどんな研究が必要で、どのようにプラントを設計すればよいかを熟知しています。そして、その専門性を活かしながら、プラントの建設に向けてエンジニアリング部門や製造部門と連携・協力しながら仕事を進める姿も見てきました。
将来はそんな先輩や上司のように周りから信頼される専門性を持った技術者となり、自部門と他部門をつなぎ業務を推進する原動力のような存在になりたいですね。
【大切にしている軸・価値観】
原理・原則を基本に現象を見極めること
入社して間もなく、研究をする上での姿勢として、原理・原則を基本に現象を見極めること、すなわち、現象として何が起こっているのか、それはどのような原理・原則なのか、を突き詰めることが大切だと上司や先輩から教わりました。そして実際に業務を進める中でその大切さを実感し、今では私の信条にもなっています。
実験では、どのようなことが起こっているのかを突きとめ、その現象をモデル化することで、「温度や圧力をこう変えれば、こういった反応が起こる」といった予測をできるようにすることが重要です。プラント設備などへのスケールアップでは、この予測をもとに機器のサイズや運転条件などを決定し設計を進めていきます。
現象を見極めるために私が取り組んでいることは、まず現場や実験データをよく見てみることです。現場の装置で実験中に起こったこと、採取したデータをもとに思考を巡らせ、仮説をたて、それを裏付けるための検証を行います。また、いろいろな文献を読み知識を深めていくことも仮説をたてる上で重要です。
現在担当しているプロセス開発業務にも、この原理・原則を基本に現象を見極める姿勢で臨んでいます。