製造業の
データサイエンティスト
としての
事業への貢献
【入社動機】
社会にとって不可欠な産業
就職活動の当初は、社会の根幹を支える化学業界やエネルギー業界に興味を持っていました。
しかし、いろいろな企業の社員の方々の話を聞き、自分の中でのモチベーションを明確にしていく中で、人々の生活になくてはならない“もの”を作る化学産業、さらにその中でも人間にとって不可欠な食を支える「農業分野」で貢献したいと思うようになりました。
そこで、農業分野に力を入れている総合化学メーカーの住友化学と出会い、「農業の分野で日本に、ひいては社会に貢献する仕事ができそうだ」と感じ、応募しました。
就職活動の一環で参加した工場見学では、私が農業に興味があることを配慮していただき、農薬の製造を行っている工場を見学しました。
製造現場の様子を見て、現場の技術者の皆さんから丁寧に製造の仕事を教えてもらったなかで、化学製品を作る仕事を具体的にイメージできたことが、入社を決意する決め手になりました。
入社後に配属された生産技術部は農業の分野に直接関わる部門ではありませんが、私の担当する工場の課題解決支援(工場のデータ活用の推進)の仕事は、農薬を製造する工場の効率化にも間接的に貢献できるという意味において、大きなやりがいを感じています。
【仕事内容】
データサイエンスのCoEとして社内のデータ活用を推進
入社当時は東京本社の生産技術部に配属され、スマートファクトリーの取り組み(AIやIoT等を活用した業務改善や生産性向上を行う活動)等の業務に従事しました。約3年後、愛媛県の大江工場で偏光フィルムの開発・製造に3年弱携わり、2年前に現在所属しているデジタル革新部に異動してきました。
デジタル革新部は、データサイエンスの専門家からなる部署です。データサイエンス活用推進により、研究開発・生産・ビジネスのプロセスに変革をもたらす、というビジョンのもと、データサイエンスのCenter of Excellence(CoE:人材、ノウハウ、ツールなどを集約した横断組織)としてデータ活用を推進しています。
部内には、研究系のデータ活用を進めるR&Dデータ科学チーム、工場のデータ活用を進める生産データ科学チームがあります。私はその中の生産データ科学チームに所属し、データ活用ができる社内人材の育成や、工場の課題解決支援を主に担当しています。その他にも、大学との共同研究や論文発表された新技術の活用検討、データを活用しやすくするためのデータ基盤整備も行っています。
データ分析技術や情報技術が進歩し、現場のさまざまなデータが簡単に収集・活用できるようになったことで、研究開発や製造、ビジネスの現場でできることが大幅に増えました。データを業務に活用することで、事業の競争力を強化し、社会に貢献できる製品開発・生産にもつながっていると感じています。
【印象に残っているエピソード】
データサイエンスと現場の知見を掛け合わせて現場課題を短期間で解決した経験
デジタル革新部に異動した後、工場の現場担当者と二人三脚で偏光フィルムの品質改善プロジェクトを進めたことが印象に残っています。これまでの現場の知見(ドメイン知識)だけでは品質不良の発生原因が特定・改善できず、デジタル革新部に相談が寄せられたことがきっかけでプロジェクトがスタートしました。
工場で収集している環境温度や薬液の流量など、数百種類の操業に関わるデータをさまざまな切り口から分析する中で、私はこれまで見落とされていた意外な因子が品質に影響している可能性があることに気づきました。
ただ、データだけではなぜその因子が影響しているのかは分かりません。データから分かることは相関関係だけで、起きている現象を解釈しないと因果関係は分からないからです。“なぜ”を特定するには現場のドメイン知識が必要でした。そこで、工場の製造担当者や研究所のメンバーも巻き込み、データ分析の結果と現場のドメイン知識をもとに一緒に議論しながら原因を特定し、最終的には品質不良原因を特定して改善することに成功しました。
自分のデータサイエンスの知識と現場の社員のドメイン知識を組み合わせることで、それまで解決できなかった課題を約3ヶ月という短期間で解決することができたのです。
私はこのプロジェクトを通じて、データサイエンスには問題を捉え直す力があることを実感しました。現場の社員は業務経験が豊富であるがゆえに、目に見えにくいデータの変化を見落としてしまうこともあります。そこで、データという客観的な目線から課題を分析することで、現場視点では見えていなかった課題解決の糸口を見つけることができたのだと思います。
【今後の展望】
自分の強みを活かして社会の役に立つ事業に携わりたい
当社の幅広い事業から得られるデータを活用し、長期的な視点を持って社会を良くする事業に携わりたいと思っています。
「裾野の広い産業基盤を持つ住友化学だからこそ、データを活用することで、10年、20年先の事業をより一層発展させられるに違いない」。私はそう確信しています。
また、私は将来的には社会をより豊かにするための、これまで当社でなかったような新しい事業に携わってみたいと考えています。
現場の知識・経験を持っていて、データサイエンスもできる、そんな自分の強みを活かしながら、新たな事業に挑戦していけるときっと面白いでしょうし、会社の発展にも貢献できるのではないかと思います。
【大切にしている軸・価値観】
人と人の強みを「かみ合わせる」こと
私が仕事をする上で大切にしていることは、さまざまな専門性を持った方々の強みという歯車をうまく「かみ合わせる」ことです。
プログラミングスキルの高い人、分析能力が高い人、現場の本質的な課題を見つけることに長けている人など、私のいるチームにはそれぞれ異なる強みを持っている人たちがいます。一人一人が別々に働いていると、強みではなく弱みに足を引っ張られて良い成果が得られないことが多々ありますが、チームとしてうまく連携することで、それぞれの強みが互いの弱みを補いあうことができます。
私は、自身の強みは全体を俯瞰してものごとを捉える力だと考えています。高い専門性を持ったチームメンバーの強みをうまく「かみ合わせる」ことを意識して仕事をすることで、一人一人では達成できないような大きな仕事にチームで取り組んでいきたいと思います。